身のまわりに置いて味わいたくなる切削加工美を具現化しました。
入曽精密の美意識を反映した、感度の高い目利きのための切削アートです。
アルミの薔薇
3.5kg のアルミ合金の塊から約60時間かけて削り出された一輪のバラは、花びら、葉、茎、棘にいたるまで全て一体でできている、インダストリアルアートの最高峰!
先端技術を知る方でなければ何気なく見落としてしまいそうな作品ですが、この「削り出しのバラ」にはMC造形による貴重な可能性が表現されています。一筆書きのような流麗な加工、小径工具を自在に操る精密加工、少ない冶具で設計変更も楽など複雑なカタチを高い精度で実現するシンボルです。
入曽精密では1990年代後半から2000年にかけて、3次元CAD/CAMソフトをEthernetで工作機械に接続し、今まで不可能とされた複雑形状の金属部品を、高精度かつ安定的に造り出す製造システムを開発しました。
この技術によって造られたのが「アルミの薔薇」です。
「バラのとげや花びらの精巧さ、アルミでありながらやわらかさを表現。機械加工での限界領域を拡大した。」とのことで、第一回切削加工ドリームコンテスト(2004年)にて特別賞をいただきました。
メタルのバザラ大将
バザラ大将(伐折羅大将、国宝)は、天平時代(710~794年)のクリエーターが、渾身の力で当時の最先端技術を駆使して制作した立像です。甲冑に身を固め、憤怒の姿であらわされる十二神将のひとつとして、今もなお奈良県の新薬師寺にて本尊の薬師如来坐像を守るように取り囲んでいます。
ある平成の削り師が、かっと口を大きく開き緊張がみなぎるその勇姿を目の当たりにして心揺さぶられました。そこで、世界に通じる技術力と職人技をもって、金属の塊(インゴット)からミクロン単位まで精密に削り出したのが「メタルのバザラ大将」(実寸の1/8)です。
バザラ大将がとりもつ、時空を超えた提携が形になりました。
本プロジェクトは文化財の3Dアーカイブデータの活用可能性と工業技術の芸術作品制作への応用可能性を探る目的で実施されました。
新薬師寺の収蔵物であるバザラ大将を、高精細3次元レーザー計測してできた3Dデータを元に、㈱入曽精密の持つMC切削加工技術とリバースエンジニアリング技術を活用して制作された超精密モデルです。
監修:新薬師寺、
工作機械 :DMG森精機製 NMV5000DCG
企画プロデュース :きわみ工房㈱ (現REAL EDGE)
モデリング及び製造 :㈱入曽精密
エンドミル提供 :日進工具㈱
3次元データ・印刷物用画像提供 :㈱キャドセンター
計測協力:元東京藝術大学美術研究科 長澤市郎教授
サイズ: 125mm x 145mm x 250mm