C×T理論

MC機の性能を引き出す為の加工テクニック~W=C×T理論

MC機の性能は年々進化し、ワークの加工精度は高いレベルに達している。しかし、同じMC機でも技術者のT(テクニック)の差によってワーク精度に差が生じる。加工時の刃先の振動及び刃先位置の伸縮を抑える事が、ワーク精度の向上につながる。この振動と伸縮を抑えるために、CMC機+工場環境)ループの中に存在するT領域を明確にし、分析することが必要である。

 

図表1 Cループ理論の概略
 
c-loop

出典:「力のセンシングとアクチュエーションの統合に関する研究(1998年/松本潔)」

 
C×T理論
W(ワークの加工総合誤差)=C(工場環境誤差+MC誤差)× T(テクニック誤差)
*テクニック誤差(T):ワーク特性毎のTool構築技術+ワーク加工技術+固定具構築技術
 
 

図表2 C×T理論と誤差要因の分類図
 
cxt-riron_gosa

K.SaitoT領域を新たに定義したのは、30年前と比べて、ワークに求められる精度レベルが格段に上がっており、従来誤差発生要因として問題とならなかった “MC機を操作する技術者のテクニックの及ぶ領域のレベルアップが必須となってきたからである。MC機を使用する加工現場でのT(テクニック)誤差を小さくする方法は、費用0または、少ない費用でできる。
近年の12千回転以上のマシニングセンタを、技術者が正しく操作・段取りをおこなえば、精度を出すことが難しいと思われている5軸加工機械でも、空間精度誤差±0.002mm以内のワークを作ることは可能である。なお工場環境誤差は、MC誤差同様、技術者のテクニックが及ばない領域のため、本論では工場環境誤差+MC誤差の累積であるCループ誤差については言及しない。但し、実際には工場環境誤差は、ワンプログラムの加工時間の長さの影響を大きく受ける